両備地域ケア総合研究所

RYOBI General Research Institute of Community Care

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両備ホールディングス「介護研究所」の設立に願うこと

 

主席研究員より

これからの高齢化社会は、介護だけにとどまらず、地域の皆様の健康と幸せを守るため自己実現サポートに向けた新しい環境づくりが求められると思います。
高齢者との接し方も、両備グループの経営理念「忠恕」=「真心からの思いやり」の心を持った「おもてなし」の精神が大切です。
たとえば、フィットネスで健康・体力づくりをすることにより、生き生きとした自立の精神で楽しい人生を送っていただけるものと思います。
私たちは高齢者の健康と幸せを基調にした介護の実践研究を行っていきます。私たちの研究が少しでも地域の皆様のお役に立てれば幸いです。
主席研究員 小山嘉紀(Dr.KOYAMA Yoshinori)
博士(工学) MBA
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教育研究担当より

日本国は、21世紀を人類史上いまだ経験したことのない「超少子高齢化・人口減少社会」として迎えました。このような時期にあって、「安心・安全そして深い絆で結ばれた地域づくり」を目指す両備ホールディングスに「介護研究所」が設立されたことは、誠に両備ホールディングスならではの社会貢献の姿であり、それは人類が希求してやまない素晴らしいコンセプトの実現化と言えます。
今後は、研究所において「介護」をコアとした先駆的、かつ先進的な研究が展開されるものと、大いに期待されるところですが、これからの20年先、30年先を見通したとき、介護研究所の研究成果が、結果的に体系的で総合的な成果に直結するには、そのための骨組みを、今こそしっかり固めておくことが必要と言えます。
「安心・安全そして深い絆」という理念のもとに、介護の授受に関わる「高齢者本人、介護に関わる家族員や専門家、ならびに地域」といった基軸と、介護に関する「政策・経営・臨床」といった基軸の各要素に着目し、それらを複合的あるいは融合的に捉えた研究を展開していく必要があります。さらに介護研究所は、その研究成果を間断なく情報化して社会に発信し、国民ひいては人類の共有財産とならしめることが使命と言えます。
そのことに耐えられる研究成果をどのように作り出すか、それは研究員の保有する資源にかかっていると推察されます。幸い、研究所には高い見識と高度な研究力を備えた研究者が配置されております。それをトップがどのように方向づけていくか、これは研究所の発展にとって重要な課題になると思います。またトップは、社会資源としての研究者人材をさらに発掘し育成し、その総合的な研究力をもって発展的に研究する組織を形成していくことが重要です。他方、ひとりひとりの研究者は研究所の理念を踏まえ、遠大な目標に向かって猛進することが望まれます。
そのような研究基盤をもってするなら、現在「人生第4期」の高齢者に必要とされている質の高い介護のみならず、人類が新たにチャレンジすべき課題として位置づけるべく「人生第4期」の質の高いライフスタイルの形成においても、両備ホールディングスの研究所は、単なる企業の一部所ではなく、おいなる人類のシンクタンクになりえるものと期待できます。
このような期待をもって、またそれが両備ホールディングス「介護研究所」設立のはなむけとなることを切に願います。
保健福祉学部教授 中嶋和夫(NAKAJIMA Kazuo)
岡山県立大学 理事(教育研究担当)
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 私はこの10月で67歳ですが、虫歯治療中と頭が多少オカシイ!?以外は心身ともに健康で、丈夫に産んでくれた両親や、家族をはじめ多くの人たちに深く感謝しています。そして、高齢者の入口に立った現在、自分が介護される場合について色々と考える機会が増えてきました。
 私が考えることは、「介護者に大きな負担を強いず、自分だけでなく介護者や隣人たちとともに心楽しい生活を送る。」という、多くの高齢者の賛同が得られるだろう目標の実現です。この目標は、次の2つの原則がベースとなっています。
①高齢に伴う身体面の衰えや疾病は避けられないが、健全な心は工夫と努力で維持・発展が可能である。
②ひとりだけでは無理でも、周りの人たちとともにならば、心楽しい生活を送ることができる。
 そして、この目標の実現への私の提案は、「介護現場をスマイルや笑いで満たし、ユッタリ、明るく、サラサラに!」ということです。これは、笑いやスマイル (以下、笑いと総称)が、副交感神経の活性化や、コミュニケーション円滑化などの効果で、介護される人・介護する人・介護事務などの関係者のすべてを、ユッタリとした空気で包み、明るい気持ちにさせ、血液循環と人間関係をネチネチからサラサラにするからです。
 一方、介護関係者からは、厳しい介護労働環境などから鬱々とした勤務の中でうつ病となる介護者も多い現状を聞いています。このような鬱々とした介護者には、被介護者が心楽しくなる質の高い介護など期待できません。被介護者が心楽しくなるには心楽しく働く介護者が必要なのです。そして、介護現場が厳しいとき大変なときこそが笑いの出番なのです。
 ここで何より嬉しいことは、笑いは、「手間とコストと副作用がほとんどない極めて良質な健康薬!」であるということです。最近の科学的研究でも、笑いが、ガン、糖尿病、高血圧、リウマチ、腰痛などなど多くの病気の予防と治療に効くことが解明されてきています。さらに、笑いは、家族や職場などでのコミュニケーションの円滑化を通じて、組織を活性化します。つまり、笑いは個人と組織の両者の健康に効果があるのです。
 そして、笑いの実践は、少しのやる気と少しの努力、そして共に笑う仲間が周りに居れば充分です。笑いは仲間に伝染する性質を持っているからです。介護現場では、被介護者同士、介護者同士、被介護者と介護者など色々な仲間関係が考えられます。また、笑いには、ジョーク・笑い話・落語・オモシロ映像などから、対象への好意や関心に起因する微笑み(スマイル)、さらには最近広まってきた皆で大笑いするラフターヨガなど様々な形があります。特に微笑みは、簡単に一人でもどこでも行えるがワッハッハッと同等の効果を有する大変優れた笑いの一形態です。
 なお、当岡山県は、1992年に吉本興業の本拠地「なんばグランド花月」で笑いの免疫力アップ効果を定量的実験で解明した、笑いの健康科学の先駆者「伊丹仁朗先生」(すばるクリニック;倉敷市玉島)がいる笑いの先進県です。
 以上、介護実務の素人からの提案ですが、介護現場への笑いの導入・定着の実現に両備介護福祉研究所が旗手となって取り組まれることを期待するとともに、微力ながら機会を見付けて支援をさせていただこうと考えています。
 最後になりますが、両備介護福祉研究所の今後の着実なご発展を、心よりお祈りしております。
日本笑い学会 岡山笑わん会 副会長 湯浅光行
岡山県立大学 地域共同研究機構 産学官連携コーディネータ
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